以前にもご紹介しましたが、OKURADOのサロン「ジュエリーコンシェルジュ大倉」では、お客様からのフルオーダージュエリーも承っております。
お客様とお話しをしながらご希望をうかがい、デザイン画をご提案してオリジナルのジュエリーを創りあげます。
いままでにたくさんのフルオーダージュエリーをお創りしてきたのですが、今日はその中から印象に残るエピソードをお話ししたいと思います。
海外のお客様からのオーダー。
大きく美しいピンクダイヤモンドをメレダイヤモンドで取巻いたリングのご依頼でしたが、その取巻いたピンクダイヤモンドをご主人様と奥様で共用されたい、とのご希望でした。
奥様の指のサイズは9番、一方ご主人様は28番。かなりサイズの違うリングの台を2本製作し、ピンクダイヤを取り外し可能にして共有できるような機構をつけなければなりません。正直なところ、このオーダーは不可能と断るつもりでした。 万が一取り外しの機構が弱ければ、おそらく何軒もの家が購入できるほどの価値を持つピンクダイヤが気づかぬうちに外れてしまう危険も考えられました。
ただ、奥様だけでなくご主人様も身に着けてみたい、という気持ちもよく理解できるほどそのピンクダイヤモンドは魅力的でした。私がデザイン画を起こしながらOKURADOの工房の職人に相談したところ、数日後に1つの提案をしてくれました。
それは、リングを着けた状態では絶対に取り外せない機構、つまりリング装着時に何かの拍子に上部が外れてしまうことのない提案でした。職人が考え抜いた末にそのアイディアを思いついたのも、このダイヤモンドに職人自身も魅了されたからかもしれません。
ピンクダイヤモンドがセッティングされた真裏に設けたフックを押したときのみ、ピンクダイヤ含む中石座がスライドし、外れるように考えられた機構でした。この結果、ご夫妻で見事に共用できるピンクダイヤモンドのリングを完成させる事ができたのです。お客様のご希望が形となり、大変喜んでいただけたことは言うまでもありません。
このオーダージュエリーを実現できたのは、私たちも仕事という枠を超えて、お客様の希望を何としても叶えたい、困難に思えることを現実にしたい、という想いを抱いたからでした。
フルオーダージュエリー製作は、宝石の知識、デザインの知識、お客様のお石の再加工の可不可の判断など作り手側に多くの知識、経験が求められます。
しかし、お客様とジュエリーや宝石の美しさを共有しながら、知識と経験を持ってジュエリーを創造することがOKURADOの使命であると思っています。
他にはないジュエリーをお求めの方、お気に召すジュエリーが見つけられない方、OKURADOのサロン「ジュエリーコンシェルジュ大倉」に是非一度ご相談下さい。
大倉堂 OKURADO
大倉仁
お客様とのエピソードについての記事です▼