OKURADOには「朝露」というコレクションがあります。
今回はこのコレクションの成り立ちをお話ししたいと思います。
私はちょっと気なることやものに出会ったとき、それらを頭の中の引き出しに入れておきます。「朝露」はその引き出しの中身の組み合わせによって生まれました。
私は子供の頃、透明なものに光があたる光景が好きでした。
葉っぱの上に乗った雫、ビー玉に光があたったさま、シャボン玉が空に飛んでいく光景など。それらをいつかジュエリーで表現できればいいな、と思っていました。
ジュエリー製作に関わる仕事をはじめてからは、私は透明感のあるカボションカットの石に惹かれるようになり、翡翠やクォーツ、ロードクロサイトなど透明感があり色が魅力的なものに出会うと購入していました。
また一方、「雨過天晴」「明けない夜はない」(いつも自分に言い聞かせている言葉ですが)という想い自体をジュエリーで表現できないかとも考えていました。
ある時、石の買い付けに行った海外で、虹色に輝く透明感のある石に目が留まりました。それは透明で鮮やかな遊色効果のあるクリスタルオパールと呼ばれるものでした。その色合いはまさにビー玉やシャボン玉に太陽の光があたったときの虹色を思わせるのもので、このオパールを見たことで異なる複数の引き出しが結びつき、一気にコレクションのイメージ作りへと進み始めました。
同時になぜ自分は雫型に惹かれるのかを今一度考え、ふっくらとした形、透明感、そして雨の後に太陽の光が当たる清々しさを「朝露」コレクションの石選びとフォルムの基準としました。
そして雨のあとの太陽に照らされたまさに「雨過天晴」もテーマに加えました。
今では、「アイシージェイド」(ICY JADE)と呼ばれる吸い込まれるように透明な翡翠や、パライバトルマリンも加わり、美しいセンターストーンの形状から創り出す一点物を中心したコレクションへと育っていきました。
このように別々のときに私の頭の中に作り出された引き出しが、あるときに組み合わさってコレクションになることがしばしばあります。スティーブジョブスが言っていた「点と点が繋がる」ということなのだろうか、と自分では勝手に思っています。
センターストーンがまず見つかってから一点物のジュエリーになっていくので、お買い求めいただくとまた別の宝石が見つかるまで商品がなくなってしまうコレクションでもあります。常に品揃えにあるわけではないので、変な言い方になってしまいますが、「朝露」コレクションに出会えた方はとても幸運な方と言えるかもしれません。
そして私自身「朝露」コレクションの商品を見るたびに、「止まない雨はない」と今でも私自身に言い聞かせています。
大倉堂 OKURADO
大倉仁
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