大倉堂のサロン、ジュエリーコンシェルジュ大倉が12月14日よりリニューアルオープンしました。
大倉堂のジュエリーをゆっくりと御覧いただけるようにシンプルで落ち着いた雰囲気の空間になっています。サロンの中からガラス越しに工房が見え、熟練の職人がジュエリーを作り上げていく様子をご覧いただけます。
この工房が見えるサロンにした理由の1つは私の子供のときのある想いからです。
私が幼少の頃、端午の節句の時期になると家の庭に10m近い高さの鯉のぼりを立てていました。その鯉のぼり用の柱を土台から立てるため毎年「竹さん」と呼ばれていた大工さんが来ていました。私は「竹さん」が朝早くから夕方まで黙々と組み立てる姿をずっと横で見ているのが好きでした。一日かけて作り上げた鯉のぼりの柱は、強い風にもびくともせず、風になびく鯉のぼりを見ながら、『竹さん』が黙々と作っていた姿を想い出していました。
母の両親は銀座で割烹料理屋を営んでいました。 幼少の頃、私たち兄弟はこの割烹の座敷でときどきご馳走になっていました。祖父が料理を作り、祖母が接客担当でした。寡黙だった祖父が、私たち孫のために時間をかけて作ってくれる姿をカウンター越しに見て、でき上がるとお客様用の座敷に移動し、祖父の作る姿を思い出しながらお腹いっぱいいただいていました。
リニューアルしたサロンの話に戻ります。大倉堂工房の中では、職人たちは数週間後あるいは数ヶ月後に出来上がるジュエリーを日々創っています。それぞれのジュエリーには費やした時間分のストーリーがあり、サロン越しに見える工房の中はそんな完成するまでのいくつものストーリーで溢れています。それを日々目の当たりにしている中で、完成して光り輝くジュエリーだけでなく、大倉堂の職人たちがこんな姿でこんな眼差しで創っている、というのも皆様に見てだきたいと思ったのです。
私が子供の時に想っていた「竹さん」の鯉のぼりや、祖父の料理のように、お客様の選んだジュエリーはこんな工房でこんな職人が創ったジュエリーである、と想い出しながら身に着けていただければ幸いです。
是非新しいサロンへお越しください。
大倉堂 OKURADO
大倉仁
ジュエリーの製作においても、幼少期の記憶がインスピレーションとなることがあります▼
コレクションが生まれるまで~朝露~